鯨肉→牛肉変換装置

ある日、豪州政府は牛肉が鯨肉を変換して製造されていることに気づいた。
あのときの減牛政策によって牛を人道的虐殺したときあたりから牛肉業者の態度がちょっとおかしいとにらんでいた豪州警察は内部調査の結果、鯨肉を変換して牛肉を作っていたことが明らかになった。
あのとき…もう20年も前のときからだ。政策は10年単位の後で効果を発揮するとはよく言ったものだ。
「われわれは気づくのが遅すぎたのだ。なんでたって鯨肉をわざわざ…」
「それは…量が多くて牛肉の消費にあわせるにはちょうどよかったからです…」
「…Oh,God」


豪州政府は声明をあげた。
「ただちにすべての牛肉を破棄しなさい。現在の牛肉は…鯨からできている!」
ある家庭ではそんな豪州政府の言葉を信用するわけもなく、「牛肉は牛肉よね」と行って喜んでステーキを焼いていた。
警察は牛肉を食べている家庭は全て家宅捜索し、家族を逮捕するよう命令が出されていた。
さすがの豪州も法による遡及はできないので今まで牛肉を食べていた人たちは許すしかない。だが、声明をあげた以上牛肉を食した者たちは逮捕しなければならない。
すべての牛肉業者の家宅捜索などが進められた。牛肉業者は鯨肉→牛肉変換装置を証拠として取り押さえられ、市民は牛肉を取り上げられた。
鯨報新教の教会では鯨を食べてしまったことについて「われわれはとんでもないことしてしまった」として集団自殺を執り行った。後の鯨報集団自殺事件である。


この一件によって牛肉業者たちは口をそろえて「あの鯨や、鯨肉→牛肉変換装置は日本のものだ」と言い放った。